ESPRESSiVO magazine
   
  CONTENTS
妄想する名セリフ
税理士・木村聡子の「メーター振り切り駆け抜けろ!」
She is espressivo
女性にやさしい薬のはなし
北海道子の幸せのおすそわけ
金沢いんぎらぁっと日記
編集室から


「自分が何をしたかは、自分が知っている 」
 
トム・ハンクスの最新作『ブリッジ・オブ・スパイ』を見て、私が最初に思い出したのは子供の頃に見ていたTV時代劇「大江戸捜査網」でした。主人公たちはお上の命令で悪い奴を密かに抹殺する隠密同心(いうたら工作員)なのですが、毎回いざ出張るという時に、ずんずん歩く彼らの姿にオーバーラップで「心得の条」というのが読み上げられます。「わが命我が物と思わず」から始まっていろいろあり、最後に「なお、死して屍拾うものなし。死して屍、拾うものなし〜」という言葉が、“ここが重要!”的に高らかに二回繰り返されます。「ブリッジ・オブ・スパイ」でトム・ハンクスが演じたジェームズは、一介の弁護士なのですが、ある偶然からアメリカとソ連・東独の両国の東ベルリンでの捕虜交換を仕切るハメになる男です。高度に政治的な判断から「アメリカ政府は無関係」という形を取らねばならず、“ほぼ敵地”の東ベルリンで何かあっても当局は一切関知しません。そうなればまさに「死して屍拾うものなし」で、彼の苦労や命懸けの献身も誰にも知られることなく終わります。今日の一言はそのジェームズのセリフ。いやー、ほんとに、これが高潔な人間のありようってもんです。
でもこういう状況を「貧乏くじ」と思ってしまう私のような凡人には、これは意外と厳しいことです。凡人は凡人だからこそ、善行だけでなく小さな悪事もしてしまいます。そして凡人だからこそ、善行は周囲に大々的に知ってほしいけれど、悪行には自分さえ知らんぷりをしたい。例えばこの原稿が出る時期、私は間違いなく「暴飲暴食」という悪行を犯しています。どんなに周囲が「そんなに食べてないよ」と慰めてくれようとも、何を食べたか、どのくらい食べたか、どのくらい体重が増えたかは、私が知っています。ああ、知りたくないのに。毎年繰り返すこの悶々、わかってるけどやめられないあたりも、自分の徹頭徹尾な凡人ぶりです。今年こそ脱凡人を目指したい――と今年の抱負が出たところで、新年のご挨拶。本年もよろしくお願いいたします。
 
『ブリッジ・オブ・スパイ』
アメリカで逮捕されたソ連のスパイ、アベルの弁護を引き受けるハメになった敏腕弁護士ジェームズ・ドノバンは、「死計確定」の出来レースにわずかな風穴を開け、終身刑を勝ち取る。その理屈は「ソ連相手の捕虜交換に使える」という荒唐無稽なものだったが、5年後それは現実のものに。アメリカ政府の密命を受けたドノヴァンは、スパイのアベルに対し、ソ連で行方不明になった米軍偵察機のパイロットと、東ベルリンで捕えられた大学院生の2名と交換するため、敵地・東ベルリンで、ソ連・東独とのぎりぎりの駆け引きを続けるが……。
(C)2015 DREAMWORKS II DISTRIBUTION CO., LLC and TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION.
 
渥美志保(あつみ・しほ) 映画ライター
TVドラマ脚本家を経てライターへ。FRaU、GOETHE、ELLE Japon、CINEMACAFE、 東京カレンダーなど、多くの媒体に寄稿。J-WAVE「KEY COFFE METROPOLITAN CAFE」にてシネマスターとして映画を紹介。TOKYO FM「FMシネマ」では構成とキャスティングを担当。現在は映画を中心にカルチャー全般のインタビュー、ライティングを手がける。
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エスプレッシーボマガジン読者のみなさま、あけましておめでとうございます! 
税理士の木村 聡子です。
新年最初のコラムは、私が友人から聞いて、今でも忘れられない、この時期になると思い出す言葉を紹介したいと思います。

私のオフィスは、窓いっぱいにケヤキの木の枝が見えます。
今のオフィスに移転したばかりの頃はちょうど新緑の季節で
手を伸ばせば触れられるような距離のケヤキの葉っぱに
とてもエキサイトしました!
そして、秋の紅葉にも目を見張り…
12月、すっかり、ケヤキの葉が落ち、枝だけになった頃… 
オフィスに初めてその友人が遊びに来ました。
私は丸坊主のケヤキの枝を見ながら、こう友人に呟きました。 

「今、残念な季節でスミマセン。
 木に葉が茂った頃に事務所に来て頂けると、景色を楽しめるんですが…」 

すると友人は、こう返したのです。

「わたし、葉っぱが落ちた枝を見るのも好きなの! 
 なかなか風情があるし、ほら、よーく枝を見ると 
 葉の落ちた木々にも、しっかり春に向けて芽が出ているって知ってた? 
 もう春に、葉をつける準備をしているのよ。」 

そう言われて目を凝らすと… 
確かに、冬から、芽吹く準備をしている!!! 

それから、ケヤキに限らず、
葉を落とした冬の樹々の枝を見るのがとても好きになりました。
何かに一生懸命取り組んで、
それが結果として実らなかったとして、 
そんな時、私という木の枝は、葉がすっかり落ちてしまったように思えるけれど、
決して、そうじゃないんだということ。
その経験から、着実に新たな芽が生まれている。 
冬の寒さに震えるだけでなく、春を見据えましょう。

冬の樹々は、そんな大切なことを教えてくれているように思います。
 
追記:
12/11、私の著書「あなたの1日は27時間になる。」が、ダイヤモンド社より発売されています。
おかげさまで発売一週間で増刷が決定しました!
ご興味のある方は、書店などで手にとって頂ければ嬉しいです。
http://www.amazon.co.jp/372/dp/4478064776
 
 
木村聡子(きむら・あきらこ)
木村税務会計事務所所長。税理士。
1991年法政大学法学部卒業後、 一般企業に勤務。その後資格取得を思い立ち、2つの会計事務所にフルタイムで勤務しながら、実質3年で税理士試験官報合格。2000年に開業。
中小企業の税務会計顧問だけでなく、資産税の税務相談や資金調達に関するセミナー講師としても実績がある。
またブロガー税理士の草分け的存在としても知られ、個人ブログは累計200万アクセスを突破している。
著書:
「起業を成功へと導く経営コーチ」(万来舎・共著)
「その時、会社が動いた 経営コーチが語る良い会社悪い会社の36の決断」(万来舎・共著)
「土下座と健太と経済学」(アチーブメント出版・共著)
「注文の多い料理店の消費税対応」(中央経済社、山本守之注釈)
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着物好きの母が私のために残してくれた着物は、絞り染めが圧倒的に多い。
なぜなのか・・・ずっと不思議に思っていたのだけれど、最近わかるようになってきました。本人に聞いたわけではないので想像ですけれど、
「とてつもなく手が込んでいる。そのわりには控えめで気取りがない」
きっと、そんなところが好きだったのではないかな・・・と。
思えば、私の成人式の振り袖も総絞りでした。人と同じものを嫌う、個性派の母らしいセレクトでした。確かに珍しいデザインで、二十歳の娘にとってもその良さがわかり自慢の晴れ着でした。

絞り染めは、本当に手間がかります。ひと粒ひと粒手で縫い絞っていく、そんな面倒な作業です。特に総絞りとなると、気が遠くなるほど過酷です。それだけに、お値段の方も立派なのですが、見た目には全然そんな感じがしません。そこがいいのです。贅を尽くした絢爛豪華な柄も素敵ですが、絞り染めのもつ「わかる人にはわかる」的な存在感が好きです。
手触りも、いいんですよ。ポコポコとしたやわらかな凹凸。絹のなめらかさ。
着物のみならず、ブラウスやワンピースも欲しいなぁ。うん!ほしい、ほしい!
ところが、調べてみて愕然としたのですが、絞り染めの職人さんが高齢化して少なくなってきているのです。
職人さんの事情を知れば知るほど、この技術の継承がいかに困難かがわかり、寂しさとともに、手持ちの着物を楽しみ尽くさねばとつくづく思うこの頃なのです。
 

espressivoとは、イタリア語で「表情に富む」「表情豊か」という意味の形容詞です。
こんな女性になりたいという気持ちから、ブランド名にも採用しました。
私を作る元気のもと、好きなもの、好きなことを、毎月ご紹介していきます。

 
栗田裕子(くりた・ゆうこ)
東京生まれ
ESPRESSiVO 代表 /クリエイティブディレクター
天然石ジュエリーブランド 【espressivo】 主宰
日本の伝統技術を活かしたものづくり【明日風Asukaze】主宰
全国各地で個展開催、セミナー講師、アドバイザーなど忙しくも楽しい日々を送る
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皆さま、新年明けましておめでとうございます。日進美由紀です。
本年も宜しくお願い致します。
ところで早速ですが、今月は長引く咳のお話しです。
これからいよいよ冬本番となり、風邪やインフルンザ、感染性胃腸炎、ロタウイルスなど色々な感染症が流行る季節となりました。
咳が出て内科に行くと、風邪であれば大概の医者は咳止めを出します。
そこで出された薬を数日飲んで症状がよくなれば問題はないのですが、咳止め薬を止めるとまた咳が出る場合は単なる風邪ではないことがあるので、ちょっと注意が必要です。
咳が続く原因としては肺炎、肺結核、喘息などの呼吸器系の病気の他に、実は逆流性食道炎という消化器系の病気でも咳が出ることがあるのです。
消化器系の病気でどうして咳が出るのか不思議に思われる方もいらっしゃる事と思いますが、実は胃酸が胃から食道の方まで逆流してその結果食道の粘膜を荒らしてしまい、咳が出るのです。
通常は胃の入り口は胃酸が逆流しないように、食べ物が通らない時は閉まっているのですが、加齢とともに胃の入り口の筋肉が緩んで胃酸が食道の方まで逆流しやすくなる事があります。
そうするといくら咳止めを飲んでも、原因となる胃酸の逆流を抑えているわけではないので、咳が治らない・・・という事になります。
もしも逆流性食道炎の場合は胃酸が出るのを抑える薬を飲むこととなります。

咳が続くのに、他の疾患を考えず延々と咳止めを出す医者は変えた方が良いでしょう。
どんな病気にせよ、よいお医者さんとお付き合いしたいものです。
 
日進美由紀(にっしん・みゆき)
東京都内の薬科大学を卒業後、検査薬メーカーに5年勤務。
その後結婚・出産を経て4年間のブランクの後、復職。
主婦業と子育てをしながら薬局薬剤師として18年目を迎えるアラフィフ。
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あけましておめでとうございます。北海道子です。2016年のはじまりをいかがお過ごしですか。さて、今年最初のテーマは「山親爺(やまおやじ)」。この厳つい名前の正体は・・・。

「山親爺」は、1930(昭和5)年に発売された薄焼き煎餅。作っているのは老舗の菓子メーカー・札幌千秋庵です。「千秋庵」と「山親爺」、この二つのキーワード聞いた道民の多くが「出てきた 出てきた 山親爺〜♪」と懐かしのCMソングを口ずさむ、長きに渡り親しまれている北海道を代表する銘菓です。

商品名の「山親爺」は、北海道に棲息する熊(ヒグマ)の愛称で、パッケージはもちろん煎餅にもレリーフで描かれています。その山親爺をよく見ると、笹に引っかけた鮭を背負い、スキーを履いて滑走中。北海道を象徴するその絵柄はそのままCMソングの歌詞にもなっていて、多くの道産子たちにすり込まれています。ふ〜んと聞き流してしまいそうですが、いえいえ雪国に住む熊もさすがにスキーはしませんから。
スキーを滑る熊を見ても
違和感を感じないから不思議。
煎餅の形は雪の結晶がモチーフ。
久しぶりに食べた「山親爺」は
昔食べた以上においしく感じた。
小麦粉、卵、バター、牛乳などシンプルなレシピで焼き上げた煎餅は、パッケージの封を切ると同時に軟らかな甘い香りが広がります。水を一切使わずに作る製法は昔と変わらず、煎餅でありながらサブレのようなサクサクとした和洋折衷な味わい。発売当時はかなりハイカラな味だったと想像します。そして軽やかな口当たりの秘密は、原材料のひとつ「餅粉」にもあるようです。

「山親爺」には楽しみがもうひとつ。これまた発売時から変わらないというパッケージの黒い丸缶(35枚入)とハイカラな雰囲気の角缶(20枚入)は、缶コレクターの道子ももちろんコレクションしている、缶好きなら手に入れたくなる渋くてスマートなデザインです。味はもちろん、パッケージや広告宣伝などマーケティングし尽くされた「山親爺」。なるほど、記憶に残るお菓子であり続ける理由がうん十年経ってやっと分かったような気がします。遅すぎ!
ハイカラな角缶。 中にはさらなるお楽しみ、 プラスチック製のミニ山親爺が潜んでいる。 コロッとした姿形がなんともかわいい。
 
北海道子(ほっかい・みちこ)
日本最北端のマチ、稚内市生まれのアラフィフ。
漁師の家で昆布、エビ、カニ、ウニ、サケ、カレイなどの海産物に囲まれ育つ。
その反動か好物はイモ、カボチャ、豆、乳製品といった農産物系で
パンと甘い物にも目がない。現在、札幌市在住。北海道フードマイスター。パンシェルジュ検定1級。
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みなさん、明けましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします。

2015年は「感謝」の一言につき、家族、パートさん、作家さん、お店の運営に関わる方々に支えられ、目標金額を達成できた一年でした。
2016年も「感謝」の気持ちを大切にし、みんなが幸せになる最高の一年にしたいと思います!

お店の方は、1月2日(土)から営業を始め、
2階ギャラリーは「加賀の雅展」という企画展がスタートします。
今年も城下町金沢にふさわしい雅な品々が並んでおります。
この企画展のときにしか並ばない、加賀てまりや加賀お細工物の作品は
今年も大変素晴らしい作品がたくさん並び、見ごたえがあります。
一階の常設では見られない作品の数々をじっくりご覧いただければ嬉しいです。
話は変わり、
先月、金沢市内にあるデパートへ行ってきました。
欲しいものがあったのですが、「そう言えば、二日後からポイントが2倍になる案内が来ていたな〜」と思い、無茶なお願いかな?と思いながらも、商品を取り置きして貰えないかとお願いしたところ・・・
明らかに店員さんのテンションが下がり、ムッとした顔で対応されました。

二日後、商品を取りに行ったら、案の定、私を接客した店員さんは笑顔もなく、塩対応・・・
しかし、もう一人の店員さんが心温まる神対応で
私が、「申年の下着って、プレゼントされる方がいいのですよね〜」って聞いたら
「そうかもしれませんが、プレゼント専用の箱もございますので、こちらの箱に入れてお渡ししますので、自分へのご褒美にしてください!!来年は良い年になりますね!!」と言い、帰るときはお店を出るまでお辞儀をしてくださり、
その店員さんの対応に私は感動☆
次、あのお店で買うときは、その店員さんに絶対接客してもらうぞ!と思いながら帰ってきました。

店員さんの対応一つでお客様の心はこんなにも違うんだ〜ということを実感し、
改めて、接客の大切さが身に染みました。
当たり前のことかもしれませんが、どれだけステキなお店でも、店員の接客態度が悪いと販売には繋がらない。
クラフト広坂で買い物をすると気持ちが良い!
クラフト広坂の店員さんの接客(笑顔)は気持ちが良い!
と言われるお店になれるよう、2016年も一丸となって頑張ります!!!

お客様の気持ちに沿い、その商品を開けるわくわく感までお手伝いできるって
考えただけで幸せですね(*^_^*)

「神対応」「塩対応」、最近よく聞く言葉ですが
小さなことでも「神対応」をしていれば、おのずと「徳を積む」ことにつながっていくんだな〜と思いました。

新しい一年がスタートし、ワクワクしますね ( ´▽`)
みなさんにワクワクする金沢を伝えていけたらいいな〜と思います!
2016年もよろしくお願いいたします。
 
吉田千里(よしだ・ちさと)
金沢・クラフト広坂 店長
海の幸、山の幸に恵まれた能登の大自然の中で18歳まで育つ。
17年間務めた会社を退職し、伝統工芸という新しい分野で日々奮闘中。
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新年あけましておめでとうございます。
エスプレッシーボマガジン編集長の栗田裕子です。
私は今、この原稿を伊勢神宮近くの温泉宿で書いています。
「色々がんばってるからね、あとは神頼みか・・・」
と、ある方に言われましたが、違うんです。
元気でいられること、チャレンジさせてもらえることへの感謝を伝えに来たのです。
ついでに温泉。テヘ・・・。
2015年は、たくさんの種を蒔きました。種蒔きは疲れますからね。疲れをとらないと。
願わくは、蒔いた種が発芽して、さらには花を咲かせてほしいけれども、たとえ発芽しなかったとしても、そもそも蒔く畑を得られたことに感謝をしよう。そしてもし、発芽して花が咲いたら、その幸運を皆で分かち合いたい。
シンプルに純粋にそう思う、2016年の始まりです。
このマガジンも、こうして続けていられることに感謝、毎月原稿を提供してくださる皆さんへ感謝、そして、いつも読んでくださる皆さんへ感謝です。
何かを生むわけではない、でも何かが生まれそうな、もしかしたら既に何かを生んでいるかもしれない、そんな気持ちでいます。
今年も、どうぞよろしくお願いします。


2016年1月1日
 

誰かと理解し合うことは難しいけれど、ほんの少し何かを共有することで、気が楽になったり元気が出たりします。様々なジャンルで活躍している女性たちの日常や声を切り取り、ご紹介し続けることで、
皆さんとの間に共感が生まれ、何かホワッとしたあたたかい気持ちになる。そんなマガジンにしていきたいと思っています。

エスプレッシーボマガジン編集長
栗田裕子

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